●みなし相続財産の加算
生命保険金や死亡退職金は、相続財産と経済的価値か同じであることから
相続財産と「みなして」課税されることになります。
ただし、みなし相続財産として扱われるのは、被相続人が保険料を負担していた場合のみで、
負担者が被相続人でない場合は、別の税金の対象となります。
| 保険料負担者 |
税金の種類 |
| 被相続人 | 相続税 |
保険金受取人 (相続人等) | 所得税 |
| 第三者 | 贈与税 |
【非課税限度額】
生命保険金や死亡退職金には、それぞれ、遺族の生活保障のために
非課税の枠が設けられています。
ただし、相続人以外の人が生命保険金や死亡退職金を受け取った場合には、
非課税の適用を受けることはできません。
非課税限度額=500万円×法定相続人の数
●非課税財産
次のような財産は、相続税では非課税とされています。
- 墓所や仏壇、礼拝のための仏像等(骨董品や投資目的のものは×)
-
公益事業用財産(社会福祉事業や義務教育を行う学校の事業者等がその事業の用に供する財産)
- 相続税の申告期限までに国等に贈与した財産
●相続時精算課税の生前贈与財産
相続時精算課税制度を選択した場合には、その制度により贈与を受けた財産を
相続財産と合算します。この場合の財産の価額は、贈与時の評価額となります。
また、贈与を受けた際に支払った贈与税については、贈与税額控除として
相続税額から控除し、控除しきれない分があれば還付となります。
(平成15年改正)
●債務控除
被相続人が残した債務、被相続人の葬式にかかった費用、非課税とされている財産は
相続財産から控除(マイナス)することができます。
【債務】
債務として控除できるものには次のようなものがあります。
- 被相続人の借入金、事業上の買掛金等
- 相続開始時に未払いになっている入院費・治療費
- 納付の確定している所得税・住民税・固定資産税等
【葬式費用】
葬式費用として控除できるものには次のようなものがあります。
- 葬儀・葬送の費用
- 葬式・葬送の前において埋葬・火葬に要した費用
- 通常葬式等に伴う費用で相当と認められる金額のもの
※次のものは控除できません
- 香典返しの費用
- 墓碑・墓地等の購入費等
- 法事の費用
●生前贈与加算
相続開始前の3年間に被相続人から一般課税の財産の贈与を受けていた場合には、
その贈与分も相続税の対象となります。
この場合の財産の評価は、贈与時の評価額となります。
ただし、贈与を受けた際に支払った贈与税額は、贈与税額控除として相続税から控除されます。
●相続財産を合計
上記の相続財産に、みなし相続財産、相続時精算課税の生前贈与財産、
一般課税の生前贈与財産を加算し、
非課税財産、債務・葬式費用をマイナスします。
これで、正味の相続財産(純粋にプラスとなる財産)の額が計算できます。
この金額を「課税価格」といい、それぞれ各人ごとの課税価格を
合計した「課税価格の合計額」をもとにして相続税の計算をします。
課税価格 = 相続財産 + みなし相続財産 − 非課税財産 + 相続時精算課税の生前贈与財産
− 債務等 + 一般課税の生前贈与財産
●基礎控除と課税遺産総額
課税価格の合計額が計算できれば、課税価格の合計額から以下の算式で計算される
基礎控除額を引いて、課税遺産総額を算出します。
課税価格がこの基礎控除額以下である場合には、相続税を支払う必要はありません。
基礎控除額=5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
●相続税法の法定相続人、法定相続分
相続税法での法定相続人・法定相続分は、
民法の相続人・相続分とは少し異なり、
相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人・相続分と
なっています。
また、被相続人の養子については、何人養子がいたとしても、実子がいる場合には1人、
実子がいない場合には2人までしか数えないという限度が定められています。
●法定相続分による税額計算
相続税の計算では、実際の取り分に応じた各人の相続税の計算は後にして、
各相続人が法定相続分に従って課税遺産総額を分けたものと仮定して税額を計算します。
課税遺産総額を法定相続分をもとに
分割し、それぞれの取得金額に応じて適用される税率を掛けて、
取得金額に応じた控除額を差し引きます。
仮の相続税額=法定相続分に応ずる各取得金額×税率−控除額
※法定相続分に応ずる各取得金額=課税遺産総額×法定相続分
相続税の速算表
| 法定相続分に応ずる各取得金額 | 税率 | 控除額 |
| 1,000万円以下 | 10% | − |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 3億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円超 | 50% | 4,700万円 |
※平成15年より税率改正
このようにして算出された金額が、各相続人の仮の相続税額となります。
この仮の相続税額をすべて合計すれば、相続人全員が支払わなければならない
相続税の総額となります。
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例.
課税遺産総額(基礎控除後の金額)4,000万円
法定相続人:配偶者、長男、次男
法定相続分
配偶者1/2、長男1/4、次男1/4
配偶者
4,000万円×1/2=2,000万円 2,000万円×15%−50万円=250万円
長男
4,000万円×1/4=1,000万円 1,000万円×10%−控除額なし=100万円
次男
1,000万円×1/4=1,000万円 1,000万円×10%−控除額なし=100万円
相続税の総額
250万円+100万円+100万円=450万円
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●相続税額のあん分
相続税の総額が算出されれば、今度は各人が実際に支払うべき相続税額を計算します。
この場合の計算は、相続税の総額を実際の遺産分割の割合で分け、
出てきた金額が各人の実際の相続税額になります。
(ただし、この後に加算や控除があります。)
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各人の相続税額=相続税の総額×
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その人の課税価格
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全員の課税価格の合計
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●相続税額の加算・各種税額控除
【相続税額の2割加算】
財産を取得した人が「配偶者・親または子・子の代襲相続を受ける孫」以外である場合には、
偶然性が高く、運良く不労所得を得たものと考えられ、
相続税の負担を増やすべきであるという考えから、
相続税額にその20%が加算されます。
※養子は通常は2割加算の対象ではありませんが、
被相続人の孫が被相続人の養子となっている場合には、その養子は2割加算の対象とされます。
(平成15年改正)
【贈与税額控除】
相続開始前3年以内の被相続人からの贈与財産、
相続時精算課税の適用を受ける贈与財産は、生前贈与加算として
相続財産の対象となりました。このため、贈与された時に支払った贈与税と今回の相続税とが
二重に課税されることとなります。
この相続税と贈与税の二重課税を排除するために、贈与時に支払った贈与税額を
相続税額から差し引くことができます。
■一般の贈与税額控除
次の算式で計算した金額が控除されます。控除額が相続税額を超えた場合には、
相続税額は0になりますが、超えた部分について還付を受けることはできません。
贈与税額控除額=
贈与財産を取得した 年の贈与税額
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×
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相続税の課税価格に加算 された贈与財産の価額
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その年の贈与税の課税価格
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■相続時精算課税選択の贈与税額控除
相続時精算課税を適用した被相続人からの贈与について支払った贈与税額が控除されます。
この場合に、支払った贈与税額が相続税額を超えている場合には還付を受けることができます。
(平成15年改正)
【配偶者に対する税額軽減】
配偶者の取得財産が、法定相続分または1億6,000万円のいずれかの金額の範囲内であれば、
配偶者に対する相続税はゼロになります。
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税額軽減額=相続税の総額×
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AとBのうち少ない金額
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課税価格の合計額
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※A…課税価格の合計額×配偶者の法定相続分
(Aが1億6,000万円未満の場合は1億6,000万円とする)
※B…配偶者の取得した財産の課税価格
【未成年者控除】
相続や遺贈で財産を取得した法定相続人が未成年者である場合、この控除が受けられます。
その未成年者が満20歳に達するまでの年数(1年未満の端数は1年とする)分、
1年につき6万円の割で控除できます。
未成年者控除=60,000円×(20歳−未成年者の年齢)
【障害者控除】
相続や遺贈で財産を取得した法定相続人が障害者である場合、この控除が受けられます。
その障害者が70歳に達するまでの年数(1年未満の端数は1年とする)分、
1年につき6万円(特別障害者は12万円)の割で控除できます。
障害者控除=60,000円×(70歳−障害者の年齢)
※特別障害者は120,000円×(70歳−障害者の年齢)
【相次相続控除】
10年以内に続けて2回以上の相続があった場合に、
2度目の相続の被相続人が1度目の相続について納付した相続税があるときは、
1度目の相続で支払った相続税のうち一定の金額が、2度目の相続税から控除されます。
2回の相続の期間が短いほど控除額が多くなります。
【在外財産に対する相続税額の控除】
海外にある財産を日本にいる人が相続した場合、
その財産のある外国と日本とで二重に課税されることがあります。
この二重課税を調整するために、外国で課税された相続税額分を、
日本で支払う相続税額から控除することができます。
●申告・納付
【期限】
相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
金銭で一時に納付することが原則です。
【延納】
金銭で納付することが困難な場合、納付税額が10万円を超えており、
一定の要件を満たした場合には、年払による延納を行うことができます。
延納期間中は、利子税がかかります。
延納期間と利子税の割合は、相続財産のうちに占める不動産の割合で決まります。
【物納】
相続税を納めることが延納によっても困難な場合は、
一定の条件のもとに相続財産を現物で納付することができます。
物納できる財産は下記のとおりで、上から順に選択することとされています。
- 国債及び地方債・不動産及び船舶
- 社債・株式及び証券投資信託又は貸付信託の受益証券
- 動産
※相続時精算課税制度で生前贈与した財産は、物納に充てることができません。
(平成15年改正)